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本書を読んでいただく皆さまに、まずお伝えしたいことがあります。 私が「葬儀塾」を始めた理由は、単なる知識の伝達ではなく失われつつある「命の文化」を次世代へと橋渡しするためです。
現代の社会では、死は日常から遠ざけられ語ることすら避けられがちです。 学校教育の場でも家庭の場でも、死や葬儀の意味を学ぶ機会はほとんどなく、多くの子どもや若者は「死とは恐れるだけの存在」として受け止めています。 その結果、 ● 死を正しく理解できず、命の有限性を実感しにくい ● 葬送儀礼や文化的な伝統が「形骸化」する ● 他者の悲しみに共感し、思いやる心が育ちにくい といった社会的リスクが生まれています。
そこで葬儀塾は、以下の世代と層を対象としています。 ● 小学生から高校生:人格形成の基盤にある時期に、命の尊さを学ぶため。 ● 一般市民:死生観を持たないまま大人になった人々に、改めて「生と死の意味」を考える機会を提供するため。 ● 未来の葬祭人材:単なる儀式の担い手ではなく、文化と心を伝える専門職を育てるため。
葬儀塾では、単に「葬儀の知識」を教えるのではなく、以下の広がりをもって学びを構築します。 ● 葬儀の意味:なぜ人は葬送儀礼を営むのか。 ● 死生観:命の有限性を知り、生きる意味を深める。 ● 倫理観・道徳観:他者を思いやり、支え合う心を育む。 ● 文化的継承:宗教や地域を超えて受け継がれてきた知恵を学ぶ。 ● 思いやりの心:グリーフケアなど共感力を実生活に活かす。
この取り組みは、「死をタブー視せず、命を尊ぶ文化を再生し、次世代に継承する」ことを目的としています。 つまり、葬儀塾は単なる教育プログラムではなく、社会の価値観を支える基盤づくりなのです。
葬儀塾は、葬祭業界の専門教育の延長線上にあるだけでなく、社会全体に開かれた学びの場です。 過去から受け継いだ文化を尊重し、今という時代に必要な死生観を問い、そして未来に向けて「命を大切にする社会」を形づくるためにこの塾を開講しました。 ここから始まる学びが、皆さま一人ひとりにとって、自身の生き方を見つめ直し、周囲との絆を深め、そして次世代への贈り物となることを願っています。
一級葬祭ディレクター 終活カウンセラー 心理カウンセラー 田中淳一
第1章:「葬儀とは何か」 葬儀は命の終わりを悲しむ儀式ではなく、故人の生を讃え人と人との絆を再確認する場です。 本章では「なぜ人は葬儀を営むのか」という根源的な問いを通して、葬儀の意味と社会的役割を見つめ直します。
第2章:「葬儀の歴史をたどる」 人類は古代より死者を弔い、葬儀を通じて命を語り継いできました。 本章では埋葬や供養の歴史をたどりながら、葬儀が時代とともにどのように変化文化として継承されてきたのかを探ります。
第3章:「死生観の理解」 死を恐れるのではなく、命の有限性を知ることで生の尊さが見えてきます。 本章では死をどう受け止めるかという「死生観」に焦点を当て、自分らしく生きるための心の準備を学びます。
第4章:「日本の宗教と死のつながり」 日本の葬送文化は、多様な宗教の影響を受けながら独自の形を築いてきました。 本章では仏教・神道・民間信仰などの教えを通して、日本人の死に対する祈りと受容のかたちを紐解きます。
第5章:「宗教儀礼とその意味」 読経や焼香、法要などの宗教儀礼には、悲しみを癒やし心を整える知恵が込められています。 本章ではその一つひとつの意味を理解し、形式の奥にある「祈りの本質」を学びます。
第6章:「現代の葬儀」 時代とともに葬儀の形は多様化し、家族葬やオンライン葬など新しい形が広がっています。 本章では現代社会における葬儀の実際と課題を整理し、これからの葬送文化の方向性を考えます。
第7章:「葬儀で知っておくべき知識と作法」 正しい知識と作法を身につけることは、故人への敬意と遺族への思いやりの表れです。 本章では通夜・告別式・香典・服装など、葬儀に関する基本的な知識と心のあり方を解説します。
第8章:「未来を担う葬祭ディレクター」 葬祭ディレクターは、儀式の運営者であると同時に「命の語り部」です。 本章では専門職としての使命と倫理観、そして人の心に寄り添う新しい葬祭人材の在り方を描き出します。