身内などの大切な方が亡くなってしまったら、必要な手続きや届け出に、どのようなものがあるかをご存知でしょうか。
実は、すぐに進めなければならない公的な手続きもあり、また、遺産相続を前提にしないと名義変更ができないなど、複雑なものも多くあります。
ここでは、亡くなったあとの各種手続きのほか、専門家に任せると方法もありますので併せて紹介します。
葬儀前、葬儀後に必要な手続きとは
故人が亡くなられた後にすぐに行わなければならない「死亡届」や「死体火・埋葬許可申請」のほかに、葬儀後も急いで行わなければならない手続きがあります。
死後に必要な手続き・届け出一覧
死後7日以内に必要な手続き
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
死亡届け | 死亡地・本籍地・住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口 | 医師による死亡診断書(警察による死体検案書) 届出人の印鑑 |
●国外にいる場合は3カ月以内 ●24時間受付 ●葬儀社による代理届け出も可能 |
死体火・埋葬許可申請 | 〃 | 死体火葬許可申請書 |
●死亡届けと一緒に行う ●申請直後に死体火葬許可証が交付される |
死後14日以内に必要な手続き
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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年金受給停止の手続 | 年金受給権者死亡届、年金証書または、除籍謄本など | 医師による死亡診断書(警察による死体検案書) 届出人の印鑑 |
– |
介護保険資格喪失届 | 市区町村の福祉課などの窓口 | 介護保険証など | – |
住民票の抹消届 | 市区町村の戸籍・住民登録窓口 | 届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど) | 住民票は通常、死亡届を提出すると抹消される |
世帯主の変更届 | 市区町村の戸籍・住民登録窓口 | 届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど) | 故人が、3人以上の世帯の世帯主であった場合 |
死後1ヶ月以内に必要な手続き
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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雇用保険受給資格者証の返還 | 受給していたハローワーク |
受給していたハローワーク 受給資格者証 死亡診断書(死体検案書) 住民票など |
故人が死亡時に雇用保険を受給していた場合 |
3ヶ月以内に必要な手続き
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
相続の放棄 | 被相続人(相続される財産を遺して亡くなった方)の住所地の家庭裁判所 | 相続放棄申述書 | 相続人が相続財産(遺産)を放棄する場合に必要 |
4か月以内
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
所得税準確定申告・納税 | 亡くなった方の住所地の税務署、または勤務先 | 亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得の申告書 生命保険料の領収書 医療控除証明書類など |
故人が自営業または、年収2千万円以上の給与所得者の場合に申告・納税が必要 |
10か月以内
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
相続税の申告・納税 | 被相続人(故人)の住所地の税務署 | 申告書 被相続人(=故人)の戸籍謄本 除籍謄本・住民票・住民除票 相続人全員の戸籍謄本 印鑑証明書など |
相続する財産が基礎控除額以下の場合は、納税も申告もする必要はない |
2年以内
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
生命保険金の請求 | 契約していた保険会社 | 死亡保険金請求書 保険証券 最後の保険料領収書 保険金受取人と被保険者(故人)の戸籍謄本 死亡診断書 受取人の印鑑証明書 |
死亡保険金の受取人が被保険者(故人)の場合は、相続財産の対象になるため、相続確定後に請求 |
速やかに行うべきこと
名称 | 手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|---|
遺言書の検認(けんにん) | 亡くなった方の住所地の家庭裁判所 | 開封・閲覧していない遺言書原本 遺言者の戸籍謄本 相続人全員の戸籍謄本 受遺者(遺言で財産の贈与を受ける人)の戸籍謄本 |
遺言書が公正証書でない場合のみ |
補助金や給付金、高額医療費払い戻しなどを受けるための手続き一覧
葬儀費用の補助金や年金の一時金、高額医療になった場合の一部払い戻しなど、遺族に支給される制度があります。
生命保険などをかけている場合は、早めに請求をしておきましょう。
死亡から2年以内
国民年金の死亡一時金請求
国民年金の保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のどちらも一度も受け取らずに亡くなったとき、故人と生計をともにしていた遺族に、保険料納付期間に応じた定額の「死亡一時金」が支払われる
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
亡くなった方の住所地の市区町村国民年金課など | 死亡一時金裁定請求書 年金手帳 除籍謄本 住民票写し 印鑑 振込先口座番号 |
遺族が遺族基礎年金、寡婦年金の受給資格がない場合に限られます。ただし、寡婦年金と死亡一時金の両方の受給資格がある場合(故人の妻など)には、どちらか一方だけを選ぶ |
健康保険加入者の場合の埋葬料請求
企業や団体の健康保険組合に加入していた人(本人・家族とも)が亡くなった場合、葬儀・埋葬の補助として5万円が支給される
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
健康保険組合または、社会保険事務所 | 健康保険埋葬料請求書 健康保険証 死亡診断書のコピー 印鑑、振込先口座番号 |
故人に遺族・身寄りがない場合、葬儀・埋葬を行った人に埋葬料5万円の範囲内で、実費が支払われる(この場合は「埋葬費」といいます)。また、健康保険組合によっては、埋葬料以外に付加給付金が支給されることもある |
葬儀から2年以内
船員保険加入者の場合の葬祭料・家族葬祭料請求
船員保険組合に加入していた人が職務外の事由で亡くなった場合、また扶養者となっている家族が亡くなった場合、葬祭料・家族葬祭料として5万円が支給される
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
健康保険組合または、社会保険事務所 | 船員保険葬祭料(家族葬祭料)請求書、船員保険証、死亡診断書のコピー、印鑑、振込先口座番号 | 船員保険の被保険者が亡くなった場合には、葬祭料とは別に、当時の標準報酬月額の2カ月分から葬祭料(5万円)を控除した額が付加給付として支給される。また、被保険者の家族が亡くなった場合には、家族葬祭料とは別に、当時の標準報酬月額の1.4カ月分から葬祭料(5万円)を控除した額が付加給付として支給される。 |
国民健康保険加入者の葬祭費請求
国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、葬祭費(1~7万円 自治体によって異なる)が支給される
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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被保険者(故人)の住所地の市区町村国民健康保険の窓口 | 葬祭費支給申請書、国民健康保険証、葬儀社の領収書など、印鑑、受取人の振込先口座通帳 |
葬儀社の領収書などがない場合は、葬儀社の電話番号、葬儀の案内状・挨拶状など喪主の確認できる資料が必要。 自治体によって、申請に必要なものは異なる場合がある。 |
労災保険の埋葬料請求
労働者が業務上の事故が原因で亡くなったときに、遺族に労災保険から埋葬料が支給される
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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故人の勤務先を所管する労働基準監督署 | 葬料請求書、死亡診断書(または、死体検案書)のコピー | 出勤途中の事故などの「通勤途上災害」で亡くなった場合も労災保険から給付がされますが、給付内容は上記と異なる。 |
葬儀から2年以内
高額医療費の申請
「高度医療費制度」によって、1カ月の医療費の自己負担額が高額になった場合、70歳未満の方は、所定の窓口に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し認定証を交付してもらえば、一定の自己負担限度額を超えた分が払い戻される。事前申請が原則ですが、死後申請もできる。
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
被保険者(故人)の健康保険組合または、社会保険事務所、市区町村国民健康保険の窓口 | 高度医療費支給申請書、高度医療費払い戻しのお知らせ案内書、健康保険証、医療費の領収書など、印鑑、受取人の振込先通帳または口座番号 | 70歳以上の方は申請手続きしなくても、公費負担分が差し引かれた自己負担限度額のみが請求される。払い戻しのシステムが保険組合によって異なることがありますから、一度問い合わせた方がよい。労災保険の埋葬料請求労働者が業務上の事故が原因で亡くなったときに、遺族に労災保険から埋葬料が支給される |
遺族年金などを受けるための手続き一覧
家計を支えていた大黒柱が亡くなった場合は、遺族年金の支給は、経済的にも心理的にも支えになります。
こちらも早めに請求しておきましょう。
逝去から2年以内
国民年金の寡婦年金請求
国民年金保険料の納付済期間(免除期間も含む)が25年以上ある夫が、年金を受け取らないうちに亡くなった場合、故人と生計をともにしていた妻には寡婦年金が支給される。
ただし、結婚期間が10年以上ある子どものいない妻で、65歳未満であることが条件。支給額は故人が受け取ることのできた老齢年金の75%の金額、支給期間は妻が60~65歳の間。
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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住所地の市区町村の国民年金窓口 | 国民年金寡婦年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、妻の所得の証明書、印鑑、振込先口座通帳または口座番号 | 妻が老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている場合、夫の死後再婚した場合には国民年金寡婦年金は支給されない。また、国民年金の死亡一時金と寡婦年金の両方を受給することはできませんから、いずれかを選ぶ必要がある。 |
逝去から5年以内
国民年金の遺族基礎年金請求
国民年金加入している人が亡くなった場合、故人によって生計が維持されていた子どものいる妻、または子どもには年金が支給される。ただし、故人が保険料を納付している期間(免除期間を含む)が加入期間の3分2以上あり、亡くなった月の2カ月前までの1年間に保険料の未納がないことが条件。故人の年齢に条件はない。
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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故人の住所地の市区町村国民年金窓口 | 国民年金遺族基礎年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、源泉徴収票、印鑑、振込先口座通帳または口座番号 | 子どもが18歳になった年度の末日まで支給される。また、子どもが障害者の場合は20歳 まで |
厚生年金の遺族厚生年金請求
厚生年金保険料の納付済期間(免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上ある人が、設定されたケースで亡くなった場合、遺族には厚生年金遺族年金(故人の年金額の4分の3)が支給される。
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
故人の勤務先を所管する社会保険事務所 | 遺族厚生年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、所得の証明書、住民票のコピー、受取人の印鑑、振込先口座番号 | 遺族厚生年金の受給者には国民年金の遺族基礎年金も支給される |
労災保険の遺族補償給付請求
労働者が業務上の事故が原因で亡くなったときに、故人によって生計を維持されていた遺族には労災保険から遺族補償年金が支給される
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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故人の勤務先を所管している労働基準監督署 | 遺族補償年金支給申請書、故人との関係がわかる戸籍謄本、死亡診断書(死体検案書)、源泉徴収票など(故人により生計が維持されていたことを証明する書類)、故人と受給者が生計を一にしていたことを証明する書類 | 勤途中の事故など「通勤途上災害」によって亡くなった場合も、遺族補償年金が申請でき給付される。なお、労災保険では遺族一時金、遺族特別年金があり遺族補償年金に上乗せされて支給される。 |
名義変更・解約などが必要な手続き一覧
個人所有の預金口座や不動産、サービスなどは、相続財産とみなされる可能性があるため、手続きには注意が必要です。
相続確定後速やかに
不動産の名義変更
故人の所有していた土地・建物などの不動産を相続する場合は、登記簿を名義変更する
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
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地方法務局 | 登記申請書、被相続人(故人)の戸籍謄本、故人の除籍謄本、改製原戸籍謄本及び住民票除票、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、相続する人の住民票、遺産分割協議書、固定資産評価証明書 | 固定資産評価証明書に基づいて相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければならない |
預貯金の名義変更
故人名義の預貯金口座は、死亡届が受理された直後から相続が確定するまで事実上凍結される。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更する。
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
預け入れ金融機関 | 名義変更依頼書、被相続人(故人)の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(コピー)、通帳 | 預貯金額に基づいて相続人には相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければならない |
株式の名義変更
故人名義の株式は、死亡届が受理された直後から売買ができない。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、株式の名義人を故人から相続人に書き換える
手続き先 | 必要なもの | 備考 |
---|---|---|
証券会社または、株式発行法人 | 株式名義書換請求書、株券、被相続人(故人)の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書 | 株式評価額に基づいて相続人には相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければならない。 |
なるべく早く行う必要があること
電話(加入固定電話)の名義変更
公共料金の名義変更
クレジットカード
運転免許証
パスポート
携帯電話・プロバイダー
各種契約サービス
複雑な手続きは専門家を利用しましょう
これだけみていくと、死後すぐの手続きだけではなく、故人の財産の名義変更で、遺産相続の手続きが前提になる場合もあったりと、とても複雑で煩雑です。
専門知識がない場合、ご自分や遺族だけで行うのは大変困難かと思われます。
弁護士や司法書士に相談する
弁護士や司法書士は、相続に関する手続きのほか、死後の公共料金や携帯電話などの解約代行サービスも提供しています。
特に相続の問題は、遺族間でトラブルになる可能性もあるため、第三者を入れた方がスムーズに進みます。
葬儀社に代行を頼む
葬儀社は、ご葬儀のプロデュースだけではなく、故人の最期に関わる各種手続きの代行したり、終活全般のカウンセラーがいて、様々な相談に応じてくれるところもあります。
そういった点からも、葬儀社は手続き代行や葬儀後のフォローがしっかりしているところを選ぶと安心です。
まとめ
故人が亡くなったあとの手続きや届け出は多岐に渡り、慣れていなければ複雑で煩雑な作業になります。
葬儀社には、こうした手続きの代行を行うところもあり、不安な場合は、ぜひ気軽に相談してみましょう。