葬儀社または葬儀屋と呼ばれる業者とは、実際に葬儀を依頼するまで関わることは少ないでしょう。
葬儀の執行を依頼する場合は、どこまでお願いができるのか、また葬儀社を手配するには、どんなことに注意をするとよいのでしょうか。
ここでは、葬儀社の仕事の範囲と、葬儀社選びのコツをご紹介します。
葬儀社の仕事の範囲
葬儀を専門に行う葬儀社は、葬儀全般をコーディネートして、葬儀を滞りなく行えるように手配・進行を手がける会社です。その仕事内容は、多岐にわたります。
遺体の搬送・ケア
故人が病院で亡くなった場合、自宅ないしは葬儀場への搬送や、安置・納棺、枕飾り設置、ドライアイスなどによる遺体のケア・管理などを行います。
多くの葬儀社が、24時間365日の無休で、これらに対応しています。
葬儀プランの相談・提案
遺族の希望に沿った葬儀スタイルや演出を組み立て、提案・調整をするのが、葬儀社にとって最も重要な仕事です。
葬儀社によってさまざまなプランや料金設定があり、1つのプランに含まれる内容も、各社で異なります。
通常基本セットといわれるプランには、搬送・安置~葬儀・火葬の進行及び、それらに必要な物品などが含まれ、遺族や参列者の飲食費や返礼品などは、別途となるところが多いようです。
どこまでが含まれて何が含まれないかなど、しっかりと確認して、納得のいくプランにするようにしましょう。
通夜~葬儀~火葬進行のサポート
葬儀全般の進行に関して、葬儀社が全面的にフォローをしてくれます。
お布施をどのくらい渡せばよいか、喪主の挨拶は何を話せばよいのかなど、わからないことやトラブルがおきた場合は、なんでも相談してみましょう。
葬儀に関する手配・代行
宗教者の手配
菩提寺がない、わからないなどの場合も、葬儀社がバックアップして、僧侶の手配をしてくれます。
喪服など貸衣装の手配
喪服がない、久しぶりに着てみるとサイズが合わないなど、急なトラブルにも葬儀社は対応してくれます。着付けも依頼できます。
役所への届け出代行
葬儀社によっては、死亡届けの役所への提出や、死体火葬許可申請書の提出、葬祭費給付金などの代行手続きを引き受けるところもあります。
法要の手配
初七日や四十九日は、繰り上げ法要として火葬後に行うのが一般的ですが、一周忌や三回忌などの手配や内容相談も可能です。
その他
このほかにも、葬儀風景の写真・ビデオ撮影や、遺言書・エンディングノートの作成、遺品整理、散骨プランの提案などを行う葬儀社もあります。葬儀に関することはなんでも相談する方が、より希望に近い納得できる内容に組み立てられそうです。
葬儀社選びの「費用」に関する注意点
葬儀社選びで重要なのは、「費用」と「スタッフの対応」といわれています。まずは、「費用」に関する注意点を紹介しましょう。
葬儀見積に含まれる内容
葬儀社の見積には、おおむね以下の項目が記載されています。
葬儀一式:基本プランとされる祭壇、お棺、焼香、受付関連の備品や進行にまつわる費用
車両費用:遺体搬送、霊柩車、遺族の搬送用マイクロバスなど
斎場使用料:通夜・葬儀会場と、火葬費用。基本プランに含まれる場合もあります。
飲食費用:お通夜のふるまいや精進落しなど
返礼品費用:香典返しなど
宗教者へのお布施:宗教者への読経料、戒名料、お車代、お膳料など
その他雑費:葬儀を手伝ってくれた車両運転手や配膳係への心付けなど
セット料金とオプション料金が明確な葬儀社を選ぶ
費用のトラブルで一番多いのが、「セットに含まれていると思っていたものが含まれずに別途請求された」などという、葬儀社と遺族双方の認識違いです。
こうしたトラブルを避けるためにも、基本プランやセットプランに含まれる項目と、オプションとなる項目が明確な葬儀社を選ぶようにします。
特に変動費をチェック
葬儀の費用は、基本プランや斎場使用料など、事前にある程度明確になる固定費と、飲食費や返礼品など、当日の人数によって変わる変動費に分けられます。
特に変動費は、慌ただしい中であやふやになることが多く、終了後に請求書を見て疑問が残らないように、何人増えたらいくら変わるか、事前に確認をしておきましょう。
複数社から見積をとる
葬儀の見積は、1社だけではなく、必ず複数社からとって比較検討しましょう。
その際に、同じ基本プランに含まれる要素であっても、会社によってグレードが異なっている場合もあります。葬儀社によって見積の仕様も異なるため、単純な比較はできないものの、厳しくチェックするようにしてください。
葬儀社選びの「スタッフの対応」に関する注意点
続いて、葬儀社選びで2つめに重要な、「スタッフの対応」でチェックすべきポイントを説明します。
事前相談・見積の対応がよい
事前相談をしたときに、親身になって対応してくれる、こちらの希望に合う選択肢を多数示してくれるなど、積極的なサポート姿勢がある葬儀社を選ぶようにします。また、事前見積も、何が含まれ、どれがオプションかが明確で、きちんと説明できるスタッフがいる会社がよい葬儀社といえます。
遺族の希望に真摯に向き合う
遺族の希望や細かな条件にも真摯に向き合い、よきアドバイザーとして、最適なプランを提案できるのも重要なポイントです。また、事前相談で信頼できる担当者がいた場合は、葬儀終了まで同じ担当者にしてもらえるように依頼しましょう。慣れた担当者だと、進行中にトラブルが起きても安心です。
無理強いをしない
契約を急がせる、無理強いをする、支払期日に余裕がないなどの葬儀社は、避けるようにします。契約を急ぐばかりに内容が手薄になり、後々トラブルになりかねません。
まとめ
葬儀社選びで最も注意したいのが「費用」と「スタッフの対応」です。いずれも、故人や遺族が望む内容にするために必要なチェックポイントですので、ぜひ、参考にしてください。